クエスト「遺跡ときこりのミステリー」の巻 その3

シフォン「ところで前回の話で思い出したんだけど
シオン「うん
シフォン「昔『だんご三兄弟』って歌が流行ったわよね
シオン「そんな歌あったねぇ
シフォン「あの歌の中で『一番上が長男♪』ってあるでしょ
シオン「うん
シフォン「でも、串だんごを作るときに最初に串に刺さるのは一番下のだんごだから、一番下が長男なんじゃないの？
シオン「そんなのどうでもいいよ……
シフォン「どうでもよくないわ！このままだと気になって夜も眠れないわよ
シオン「子供が産まれるとき、先に産まれた方が兄か姉になるから、先に食べられる一番上が兄なんじゃない？
シフォン「……そういう考え方もあるわね

シオン「そういえば隊員の誰かが口うるさい石がどうとうかって言ってたよね
シフォン「口うるさい石ねぇ……。この前みたいにゴーレムでもいるのかしら？
シオン「ヒントになりそうなのはそれくらいだし、その口うるさい石ってのを探してみようよ



シフォン「何かあるわね
シオン「あれはワープ床かな？
シフォン「ちょっと違うみたいだけど……。乗ってみればわかるでしょ



シオン「わ、しゃべったよ！
シフォン「これが例の口うるさい石で間違いなさそうね



シオン「どれだ？って言われても、三択なのに選択肢がないと答えようがないよ
シフォン「あっ！もしかしてさっきのメモに書いてあった言葉が選択肢なんじゃない？
シオン「なるほど、ちょうど言葉が３つ並んでるね
シフォン「すごく怒られるのは？うーん、かぎ裂きなんて色で怒られ方が変わるものじゃないわよね
シオン「イメージ的には『赤かぎ裂き』かなぁ？
シフォン「しょうがないからここはヤマカンでいきましょ。答えは『赤かぎ裂き』よ！



シオン「……合っていたみたい
シフォン「やっぱりこのメモが答えになっていたのね
シオン「他にも同じような石があるかも。別な場所も探してみよう



シフォン「また三択？
シオン「くちばしが黄色って、鳥頭でもわかるって言いたいのかな



シフォン「今度も勘で答えないといけないのかしら
シオン「もしかしてがっかりは関係ないんじゃ？
シフォン「どういうこと？
シオン「ほら、最初の石は『赤ん坊でも答えられる』で、答えが『赤かぎ裂き』。今度は『くちばしが黄色くてもわかる』ってことは
シフォン「『黄かぎ裂き』ってこと？
シオン「多分そうなんじゃないかな
シフォン「一理あるわね。答えは『黄かぎ裂き』よ！



シオン「ほら、やっぱり
シフォン「なるほど、そういう理屈だったのね
シオン「この調子で他の石も探してみよう



シフォン「『青二才』ってことは、答えは『青かぎ裂き』ね！



シオン「これで一通り回ったけど、これからどうすればいいんだろう？
シフォン「まだ行ってないところがあるわよ
シオン「そうだっけ？
シフォン「あのきこりのいたところの奥がまだでしょ。なんだかんだで引き返しちゃったけど、奥まで見てないわ

シオン「ここにもまた石床があるよ
シフォン「また問題が出たりしないわよね



シオン「この遺跡はこんな石ばっかりなのかな
シフォン「ここの石とはあまりお友達にはなりたくないわね

シオン「空気が少し冷たい気がするけど、さっきより深い場所なのかな？
シフォン「そうかもね。それにしてもここは小さな部屋がいっぱいあるわね
シオン「みんな似たようなつくりだけど、何もないのかな？
シフォン「ねえ？一番奥の方から何か音がしない？
シオン「奥に何かいるのかも



シフォン「奥へ行きたいからこうして来たのよ
管理ペトロ「ふむ……まあ、いいでしょう。あの方々と同じニオイを感じますからねえ。これを使って入管証を取ってきてください。
シオン「これは……植物の種？
シフォン「これをどう使えって言うの？
管理ペトロ「それを欲しがる者は小部屋にいますよ。あとはあなたの知恵しだいです
シオン「知恵ってことはまた何か問題が出るのかな？

シフォン「小部屋からワープして来たけど、また変なのがいるわね
なぞなぞマッシュ「タネ、チョウダイ！
シオン「このタネでいいのかな？
なぞなぞマッシュ「パク…パク…ゴクン！　さて問題です



シフォン「カレーが好きなのは黄色って決まってるのよ。答えは『ウィリス・イエロー』ね！
なぞなぞマッシュ「正解です。商品は入館証です

管理ペトロ「取ってきましたか。入管証を渡してください
シオン「はい、どうぞ
管理ペトロ「では、お通りください

シフォン「ほんと変な遺跡よね
シオン「遺跡っていうより娯楽施設って感じだよね
シフォン「まさかまた私たち騙されてるのかしら？
シオン「モンスターもいたし、それはないと思うよ



シフォン「壁の感じが変わったわ……
シオン「ここが目的の場所みたいだね
？？？？「とうとうここを見つけられてしまったな。仕方がない、入って来いよ
シフォン「え？誰かいるの？
シオン「その声はもしかして……



シフォン「私たちは力が欲しいわけじゃないわ。ただここを調査しに来ただけよ
流れのきこり「悪いが、信用できないな。後ろに隠れている連中は何だ？
シオン「後ろ？
流れのきこり「無関係なら追っ払ってくれ。話はそれからだ
シフォン「あれはこの前もいた黒服の連中！また私たちの邪魔をしようっていうのね
シオン「そんなところに隠れてないでこっちに出てくるんだ！
シフォン「珍しくシオンが本気になってる……

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シオン「ヴェーン文書…？
ウィリス「文書はもう、おれたちの頭の中にしかない。とにかく、助力は期待しないでくれ
シフォン「しょうがないわね。今回はこれくらいにしておきましょ
シオン「そうだね。ゲイツさんにも報告しないといけないし
トカマク「あの～？
シフォン「あら？トカマクも来てたの？
トカマク「ええ、ついさっき……
ウィリス「アッ！　あんた……そんな馬鹿なッ！
トカマク「？



ウィリス「似ている。本人なのか？いや、あり得ん。お前さん、いったい何者だ？
トカマク「わたしはトカマクといいます。五勇者捜索隊の…隊長なんです
ウィリス「隊長だと！故意か？偶然にしては出来過ぎだ。王族か貴族の中に、良からぬことを企んでいる者がいるのか……
トカマク「あの、先ほどから何を言ってるんです？わたしが何か…
ウィリス「いや、何でもない。とにかく、おれに近づかないでくれ。お前さんもだ。関わりたくないんだ。帰ってくれ！

シオン「追い出されちゃったね
シフォン「まったく、トカマクが何をしたって言うのよ
シオン「誰かと間違えたんじゃないのかな？
シフォン「だとしたら誰と間違えたのかしら？
シオン「さあ？
シフォン「気になるわね……。ところでヴェーン文書には何が書いてあるの？
シオン「えーと、ちょっと待ってね……

…大災厄から五十年以上が過ぎた。
しかし、私に老化の兆しは見えない。
恐らく他の四人も同じであろう。
村人たちが怪しみ始めている。
騒ぎになる前に村を出なければならない。
こうして元の世界に帰ることもできず、
私は永久にさまよい続けるのか…

……長年考えてきたことを実行に移す。
大災厄は自然の防衛機能と私は考えている。
人間が自然と対立することなく生きられれば
この機能は発動しないはずだ。
そして、私の流浪の生活も終わる。
神がかりなことをしなければならないが、
安息の地を得るためには仕方がない……

……試みは失敗であった。
破壊なしには前進できない愚かな生き物、
それが人間だ。
この世界に人間が存在する限り、大災厄は
何度でもやって来るだろう。
それを力ずくで抑え込んだ私たち五人も、
愚か者の仲間だ………

ブルークォーツ。清らかな輝き。
虚無に囚われた私が持つ唯一の光。
戻ることのない故郷の思い出。

情けない、石ごときに慰められるとは！
手放してしまえば、踏み出せるか？
全てを終わらせる、破壊と解放の道へ……。

シフォン「ふーん。詳しいことはよくわからないけど、これを見る限り他の勇者も生きているみたいね



シオン「ただいまー
隊員アデル「おかえり。何か成果はあったかい？
シフォン「ええ、バッチリよ！遺跡の奥ですごいものを手に入れてきたわ
隊員アデル「遺跡の謎が解けたのか！やったじゃないか、大手柄だ。すぐにゲイツ殿に報告してくれ



隊員アデル「ウィリス文書に続いてヴェーン文書まで！手柄を立てるコツを教えて欲しいな
シオン「たまたま運がよかっただけですよ
シフォン「ところでトカマクは帰ってきてるの？
隊員アデル「隊長なら向こうにいるよ。帰ってきてからずっと何か考え事をしてるようだけど……
シオン「遺跡であったことを気にしているのかな？



シフォン「でも勇者なんて勝手に民家に入って箪笥や壷の中のアイテムを盗んでいくような人ばかりでしょ
シオン「リメイク版になると壷なんか割ってるしね
トカマク「えーと、私には何のことかさっぱり……
シフォン「つまり、勇者だからっていい人とは限らないってことよ
トカマク「そういうものでしょうか……

シオン「さて、任務も終わったしそろそろ帰ろう
シフォン「ところで
シオン「うん
シフォン「串だんごを横からかぶりつく場合は……
シオン「その話はもういいってば！！

注：このクエストの一部にフィクションが含まれています。なお、クエストとだんごは一切関係ありません。